橋本亮之

ブランドスタートより4年目を迎える人気ブランド【VERTREK】がブランド名を新たにスタートする新プロジェクト【SEEth】。デザイナーを務める橋本氏の貴重なインタビューを公開。


Interviewer. 遠藤博美(SIDEMILITIA.inc代表)
interview. 橋本亮之(SEEthデザイナー)

遠藤
先ずは新たなプロジェクトとして〈SEEth〉をスタートさせる事についてお聞きしないといけません。 僕個人としては、そのままでも良いのかな?とも思うのですが…


橋本
<VERTREK>の立ち上げ時のコンセプトとは【 また違う事 】を始めたくなったので、4年目にして新たなプロジェクトとして〈SEEth〉をスタートする事になりました。勿論、全てが変わる訳では有りません。(笑) かなり勇気のいる決断でしたが、初展示会を終えた今はとても満足しています。


※<SEEth>のアイテムや彼と話した事を交えて、これに関しての僕の解釈としては、“ 新たな違う事 ”と言うよりは【 今までよりも更にベクトルが広がった為 】の動きだったのではないか?と思います。


遠藤
ファッション界以外で、昔から影響を受ける事は何が有りますか?


橋本
特にこれ!というのはありません。 昔から色々な物に興味があったので、その時の【 自分の感覚 】をもとに動いています。 音楽であったり、映画、インテリア、昔ながらのおもちゃ等沢山の物から影響を受けて今に至ります。

遠藤
僕は今のファッション業界全体として、バランスの悪さを感じます。 情報量が多く且つ広く手に入れる事が可能の時代なのに、逆に自由さが減っている気がします。(それは提示する側/受ける側、両方に感じています) 橋本君は、この意見をどう思いますか?


橋本
良くも悪くも今の世の中はネット社会なので何とも言えない所ですが(笑) 遠藤さんの言っているようにバランスの悪さは僕も感じています。 僕が学生だった10数年前は、とにかく自分の足で情報収集して目的のお店に行き、そこで出会った店員さん、同じ趣味をもつ友達を増やしていたものでした。 でも今はネットを開けば莫大な情報があり、国内はもちろんの事、海外の情報でさえすぐに手に入ってしまう。情報だけでなく ”もの” 自体もクリックすれば翌日には家に届く。 便利と言えば便利ですが、これでは“ 人と人とのつながり ”や、” ものの大切さ ”が薄れて行ってしまっているのではないでしょうか?これが僕が思うバランスの崩れだと思いますし . . . 。 冒頭でも書きましたが、現状は世界中どこでもネット社会で成り立っているのでとても難しい問題ですが、ネットだけの情報に流されてしまう人はこれからもっと自由が減って きてしまうと思います。目の前にあるものを見て、聞いて、それプラス情報を吸収して行けば自ずとバランスは取れてくると思います。

遠藤
今季のアイテムで1つだけを世界中のメディアに発表するとします。(笑) どのアイテムにしますか?また理由もお願いします。


橋本
もちろん【 泥藍染め 】を施したアイテム。(下記photo1〜3枚目参照)
日本でも屈指の染め職人により仕上げられる泥染・泥藍染は、植物(車輪梅)の煎出液と泥土による古代染色技術方法を今に伝える伝統ある染め物で、 独特な色彩・風合い・しなやかさ・保温性に優れた完全手づくりの商品だからです。 伝統工芸としても知られている泥藍染めをここまで贅沢に洋服に落とし込んでいるブランドは世界中見てもそう無いと思います! 自信を持ってお客様に提案して行けるアイテムと自負していますので。

遠藤
同じ様な質問で、『コレは分かりづらいだろう:笑』と思いつつも“ 拘ったポイント ”を、具体的に1つアイテムを挙げて答えてもらえますか?


橋本
『BRAVE CUTSEW』(下記photo4〜6枚目参照)
これはマニアックなアイテムだと思います。(笑) 古着で良く見られる両Vガゼットのスウェットは、着丈が短くて体系的に着回しづらいというのが大半の方が思っている事だと思います。 ではこれをSEEth流にアレンジしたら?と思い、作ったのがこのアイテム。 生地には起毛仕様で保温性も高いものを使用し、ステッチやリブなどディティールは古着をベースにオールド感溢れる雰囲気に仕上げ、型は丈を長くして着回し易いものになっています。 単純にデニムとこれだけでカッコイイ!と思うアイテムなので是非店頭でチェックしてみて下さい!!!

遠藤
90年代と2000年以降の一番の違いは、「露骨/明確なブランド提案」が全体的に無くなった/見えづらくなった事が挙げられます。 橋本君は、この意見に対してどうお考えですか?


橋本
これは前にも書いたように情報量の違いだけだと思います。 90年代は情報が非常に乏しく、僕たちはとにかく雑誌を漁って読みまくるだけでした。 そんな中、僕たちより一足早く先輩方が海外の音楽、アート等の情報を取り入れブランド化して行ったのが90年代の裏原宿ブームだと思います。 それが僕たちにはとても新鮮だったし、色々な物が輝いていた時代だったのかと。 それから数年が過ぎ2000年に入り、沢山の情報が錯誤し始めてこういった 「露骨/明確なブランド提案」が全体的に無くなった。見えづらくなった。という意見が出てきたのだと思います。 2000年以降でも露骨で明確なブランド提案をしているブランドは沢山あると思いますし、みんな頑張っていると思います! 情報量の違いで90年代に比べるとずいぶん新鮮味に欠ける事もあるかもしれませんが、その分ディティールや素材等細かな部分で完成度の高い物を 提案出来ているかと思います。これからも頑張っていきますので宜しくお願いします(笑)

遠藤
これはミュージシャンにもよく質問しております。 人間の感情を表す言葉で【 喜怒哀楽 】が有りますが、最も作品に影響を与え、アートとして受ける時に、好きな感情はどちらになりますか? また自分の作品を来て貰いたい/それを見てみたい方を挙げて下さい。(複数/故人でも構いません)


橋本
『楽』すべて物事はハッピーにとらえたいので。 作品を着て貰いたい人は【 全てのお客さん達 】です。 綺麗ごとじゃなくて僕の作った服を良しと思ってくれる人に着て欲しい。 アーティストさんに向けて作っている訳ではないので、それがどこかで流れ流れて僕の服を着てくれたら、それはそれで嬉しいです。

遠藤
だからこそ<SEEth>の明確な考え/希望を教えて欲しいのです。いやヴィジョンというか、今季の着用する方達への願望でも良いです。 曖昧な表現では無く、信用するファンの皆さんにだからこそ伝える事が有る筈です。(僕も含みますよ、勿論!)


橋本
SEEthとは(SEE=見る +REBIRTH=再生)からなる造語で今まで見てきたもの、感じてきたことを新たな目線で洋服に落とし込んで 展開して行くというコンセプトの元に誕生したブランドです。 だから僕たちが見てきた物がそのまま反映されているので好きなように着て下さい。 どれとどれを着回してもカッコイイ!そんなブランドにこれから育てて行きたいと思っていますので。 雑誌の中の決められたコーディネートをするのではなく【 自分自身 】で洋服を楽しむ、僕はそれが【 本当のファッション 】だと思いますので。 【 PROVEN 】にいけばそれを体現してくれると思います! 遠藤さん今後も宜しくお願い致します!

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