千壽 公久

RISEY designer

現在のアパレルデザイナーにも影響を与え続ける1996年にスタートし、瞬く間に注目された伝説的原宿ブランド「SWIPE on the QUIET:スワイプ オン ザ クワイエット」「NEXD(ネクスド」を手掛け、人気絶頂時の2003年に突如引退したデザイナー「千壽公久:センジュキミヒサ」が遂に「RISEY:ライジー」で再始動!貴重なインタビューをお見逃し無く!!

Interview 千壽 公久(RISEY designer)
Interviewer 遠藤博美(SIDEMILITIA.inc代表)


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遠藤
今日は宜しくお願い致します。



千壽
宜しくお願いします。



遠藤
えっと…先ずは最初なんですけど「活動休止」って云うのも変な表現かもしれませんが、アパレル業から引退…いや辞めたと云った方が良いのでしょうかね?



千壽
はい。辞めましたね。



遠藤
それで、他のインタビューでもお話されてたと思うのですが実家のお仕事を手伝う様になって…



千壽
はい。



遠藤
完全にアパレルと違う事をしていた訳ですが…



千壽
はい、そうですね。洋服に関して云えば完全に「購買者」と云うか、ほぼ「お客さん」の立場になりましたね。

「展示会」とかは行ってたんですけど、それが…4年か5年くらいですか。

まぁ…う~んと…何ですかね…えぇ~と…



遠藤
僕が聞きたかったのが、僕も数年前から……(こういう仕事を)十何年もやっているのですが、

本当に何年か前から時代の変化と共に『ファッションに一番遠いのがアパレル業なんじゃないか?』って思い始めたのも事実なんですよ。



千壽
はいはい。






遠藤
本当に服を楽しみたい/追求したいのであれば、『業界から足を洗った方が良いんじゃないか?』って、今でも少しは有ったりするんですね(微笑)



千壽
(微笑)あの~…はい。そうですよね。なんか「スタイルが変わってきた」と云うか、

僕も洋服から離れた時に初心に戻って「スケートボード」を昔の連中とまたし始めて、

そこからの目線のファッションと云うか、本当に初心に戻ったし、そっちの方が面白かったんですね、やっぱり。

その~所謂「凄い小さいサイズ」が流行り始めて、ピッタピタな感じになってきて、それにちょっと違和感が有って、

その…みんな何をするでも良いんですけど、何でも枠組みやジャンルを付けたがって『これは~風』『これは~風』といった感じで「風」(追記:それじゃなくてそれっぽいので十分の風潮という意味だと思います)が多くなって…。

「情報」も、みんなが今や共有出来る時代になったじゃないですか。

僕達しか遊んでいる中でしか出来なかった「痒い所に手が届く様なスタイル」って云うのも変ですが、洋服ですよね……スケートボードとかで云えば誰もがスケートっぽいスタイルをすればスケーターに見えますし、それはそれで良いんですけど。

何か個人的に面白くないって云うか…ちょっとこう…本当にリアルな……リアルって云うのは…何て言えば良いんですかね……僕は80年代や90年代のスケートボードシーンなんですけど、今のスケートボードシーンに触れて、もう一回見直してみようかなって。

自転車もそうですけどね。思いっきり遊びの方からアパレルに……



遠藤
はい。



千壽
「モード」の服を創っている…まぁ「モード」の服だけが好きって訳でも「モード」の服だけを創っていた訳でもないのですけど、本当に…何て言えば良いんだろう?

一回離れたのは「そこの部分」ですよね。周りを見てても若干、個人的な感覚として「洋服が面白くない」って感じ始めたんですよね。

周りの人達とも話していると、同じくそういう気持ちだったと思うんですよ。

どっちの方向に行って良いのかって何気に迷っているところで……あんまり、まとまらないですけど。

面白くなくなったってのが。自分(自身として)がですね。






遠藤
分かりました。僕もその流れが今も有ったりし続けているのですけど、節目節目で……今回のこういった千壽さん(RISEY)との出会い(再会)もそうだったりするんですけど、自分の中では大きな事だったんですよ。

やっぱりこういう提案だったり、こういったスタイルだったりとか。

世代って悪い事でも無いし、シーンの変動も悪い事でも無いし、それこそ80年代や90年代は「ネット」が普及している時代でも無かったので。

「ネット社会」になって生活のリズムだったりとか、スタンスが全て変わる訳じゃないですか。

それによっての変化も当たり前だと思うんですけど、結局は……まぁ、80~90年代って「ファッション・シーン」だけじゃなくて、どのシーンでも「天の邪鬼」とか「アンチテーゼ」的な事が注目されたりとか、格好良いって思われたと感じるんですね。



千壽
はい、そうですね。



遠藤
それこそ「原宿のシーン」は、ファッション業界へのアンチテーゼ的な存在感が強かったと僕は捉えていますし、その部分に夢や興奮を覚えた訳です。

そして2000年代に入っていくと、徐々に「ポピュラリティー」が支持される…悪い意味での無難な事が持て囃される時代になってきたかなと。



千壽
今もそれが続いていますよね。



遠藤
そうですね。それは「不景気」ってのも深く関係しているとは思いますが。



千壽
そうだと思います。だから、そこに僕がもがいていた…逆にそれも全然有りだとも思うし、そういうのを踏まえた物作りを出来る様に、考え方がシフト出来たからこそ、今の自分なんですけどね。



遠藤
はい。



千壽
その中で自分をどう弄っていくかというのが、今の自分の物作りですね。



遠藤
実際にアパレルの世界に帰って来て、2シーズン終えて、来年には3回目のコレクションが有る訳じゃないですか。外からは見続けていたとは思いますが。



千壽
はい。



遠藤
現状、戻って来てやっぱり激変はしていましたか?90年代と比べると。



千壽
いや、それほどではないって云うのも変ですけど……その「パーツ」ですよね。

何処を見ていたか?が違うだけであって、90年代と基本は一緒の様な気もします。

だから、今で云うと「スタンダード」の物の形の中で、如何に「変えていくか」っていう鬩ぎ合いの服作りだと思います。そこが凄く面白い。

有る意味は過去は「自分で足かせを作っていた部分」もあったと思うんですよ。こう…






遠藤
以前はですか?



千壽
そうです。以前と辞めたその後に何かこう…「好きな洋服が見つからない」ってところですよね。

「好きな洋服」って言っても、勿論「作り手」の事が好きなブランドを購入していたんですけど。

今も……以前が特殊であって……いや、今も「アンチテーゼ」的な事は有ると思うんですよ。



遠藤
今は既に千壽さんの洋服を取り扱いしていますし、その服に「back to~」な部分も感じますし、

90年代を通ってない若い世代の方が実際にお店で試着して「パターン(形)が新鮮」に感じているのを目の前で見ていたりします。



千壽
あぁ、成る程。



遠藤
それが90年代の培った技術であり、伝統だったりすると思うんですね。 その部分を踏まえた上で、今の世代の方達にもビックリさせている訳じゃないですか?



千壽
はい。



遠藤
で、僕もネット社会になったからこそ「アンチテーゼを好む人達」が全国にまだ沢山いらっしゃると思うんですね。でも、実際には『いるのかなぁ?』って不安になる時も多いんですよ。

『情報や作品が実際に届いているのかなぁ?』って。その辺をまだ3シーズン目で早過ぎる段階かも知れませんが、既に制作をし、リリースしてる訳じゃないですか。

実際にそんな方々の存在を感じたりしますか?



千壽
しますよ。しますっていうか直に言われる時も有りますから(微笑) そういう風に見られていたってのも有りますし、実際に自分はそうじゃないなって風にも思われていたりもしますが。

(追記:これはちょっと文脈的に分かりづらい部分かもしれませんが、千壽さんの手掛ける服が原宿っぽい/原宿っぽくないって意味です)



遠藤
あぁ!はい。



千壽
それは良い意味でも悪い意味でもそうなんですけど。そこで…其処の部分を出し過ぎても洋服の幅が狭くなってしまいますしね。

勿論、好きですけど、好きって云うよりかは、そういう気持ちも有りながらの服作りなんで。

それを「形にして見せる」ってのは凄い難しくも有り、その部分が見えるって事は…つまり見え方に「やり過ぎてしまう」(今までの影響や癖を出し過ぎている)って事でも有るので…(微笑)



遠藤
はいはい。分かります(微笑)



千壽
そこなんですよね。何処でそのエッセンスを入れて見て貰えるのか?僕が遊んでいる時に直に話しかけられて、言われる様な事も何度も有りますし(微笑)

其処ですね……どう形に。文字とかでは無くて。

毎回、創っている時には意識はしていないんですけど、『あっ!出てしまったな』って部分を残しつつ。



遠藤
あの……意識せずとも原宿の創り上げたシーンは大きかった訳で、僕自身も直撃の世代だった訳です。

彼処までリアルでストリートなファッションアイテムを自分達の手で提案しているデザイナーが、フロント(雑誌等の媒体)に服と同じくらいに登場し、注目される事って無かった筈なんです。



千壽
はい、そうですね。



遠藤
各ブランドのカラーと創っている方のカラーが密に繋がっていた時代だと思います。

今の時代だと僕にとっては「切り離されている」感じがするんですね。

有る意味では「服本来の姿だけが見れるから正しい事」かもしれませんけど。

音楽だとすれば、ステージをずっと隠して、誰が創っているか/演奏しているかも分からないよりかは、やはり「アイコン」としてステージや雑誌に登場して、やっと全てがリンクするって場合も有る訳です。

今の時代は媒体関連もそうですけど、創っている側よりも商品をメインにって考えだと思います。

イメージフォトも何でも無い海外のモデルを使い、白のバックで、真っすぐポーズも無く「気を付けの姿勢」で写真を撮る様なのがスタンダードと化していたりしますしね。



千壽
そうですね。






遠藤
そんなシーンで、僕自身は特にですけど、全国のファンの方も『もっと前に出て来て欲しい』って願っている方も多くいらっしゃると思います。

『もっと話が聞きたい』とか『どういうスタイリングを今しているのか?』とか『今は何を考えているのか?』とか。

そういう事を求められて「苦痛」だったりしますか?



千壽
正直、有りますよね(微笑)例えば…う~ん…『何処まで見せていいのか?』ってのが有ります。

本当のプライベートって云うのが、実際に僕なんて洋服業界の方もいますけど、殆どが学生時代から…高校時代から付き合いが続いている連中ばかりで、それが果たして本当に求められている事なのか?って。遠藤さんもそうですよね?



遠藤
はい、意味の部分では分かります。プライベートとかは特にそうですよね。知ってても仕様が無い/公表する必要が無い情報が、勿論、僕の事を含めた上で蔓延っている時代ですからね。



千壽
皆さんがそうだと思うんです。何か…



遠藤
今なSNSが普及したので、嫌な言い方かも知れませんが「誰もが表(ステージ)に出てるフリ」「表(ステージ)に立っているという誤解」を招く恐れが有り、実際にそういう状況でトラブルすら発生していたりしますよね。

選ばれた訳でない訳ですから。それこそさっきの無難突発してはいけない事情に繋がると思いますけど。

だからこそ、僕は千壽さんみたいな方にもっと出て来て欲しいって願ったりするんですけどね。



千壽
ただ、それと同じ様になるんじゃないか?って怖さが有りますよね。



遠藤
あぁ!成る程。



千壽
巧く伝えられないんじゃないか?って。その…昔の写真とかだとバックも様々有って雰囲気が伝わって来た訳じゃないですか。

それが毎回毎回って訳でもなくて、それを意識的にヴィジュアルや文章として残してしまうのは、それはそれで自分達も面白くないと云うか…



遠藤
う~ん…



千壽
『何これ?』ってなるのも怖いと云うか…『何これ?』ってなるのが目に見えているので(微笑)



遠藤
僕は逆の意味かも知れませんが、お客様に店頭で「RISEY:ライジー」を説明する時に、それは商売的な意味では無く(笑)、『RISEYに関しては全身でコーディネイトした方が良いですよ』って伝えるんですね。



千壽
はい(微笑)



遠藤
それは、今の時代だと『皆さんのライフスタイルに合った服を選んで下さい』って提案に感じる時が多かったりします。これも決して悪い事では無いですけどね(微笑)

ただそれは、とんでもなく大手の企業の考える事でも有る訳です。最大公約数を狙う訳ですから。

ファスト・ファッション界なんて正にそれだと思いますし、それだからこそファスト・ファッションで有る訳です。

僕が問題視しているのはそうじゃないブランドですら、同じ様な目線に立っているんじゃないか?って事です。

実際の「土俵」や「求められている物」のが違うのにって。

話は戻りますが、『RISEYに関しては千壽さんのスタイル・提案を着るって感覚のブランドなんだよ』って説明しています。

それが先程の全身でコーディネイトして欲しいって意味なんですね。



千壽
あぁ…はい。嬉しいですね。



遠藤
勿論、一部で取り入れるのも格好良いとは思います。ただこのブランドは「寄り添った格好良さを提案している訳じゃ無いから格好良いんだ」と、僕は思っている訳です。

「寄り添う」って大事な事だと思います。でも、危険でも有ります。度が過ぎると「媚びる」に意味が変換されるので。

その「我を感じるアイテム」だからこそ好きです。良い意味で『千壽さんの服を着ているな』とか『これ以外の着方が思い浮かばないな!』って部分が。

決して奇抜なデザインでは無いけど、そう感じさせる部分が千壽さんの洋服なんだと。

その辺を強調して欲しいというか…僕らは以前に見ていますけど、今の十代はリアルタイムで体感している訳ではないので。

では、服を好きな方々の「どの部分/要求」に訴えると思いますか?自分の手掛けた洋服が。



千壽
そうですねぇ……う~ん…


遠藤
では、どんな部分を「新鮮」と捉えていると思いますか?十代や二十代前半の方達が、千壽さんの洋服に対して、どの部分がアンテナに引っかかるフック部分だと思っていますか?



千壽
………まだ、それは分からないですね。



遠藤
1回や2回のコレクションだけでは?



千壽
それこそ、今まで見てきた物とかで他のところが「やり過ぎている部分」に対して、『この辺で抑えた方が良いんじゃないか?』って。「ブレーキ感」と云うか。

そういうのは自信が有りますよね。ココをこう変えただけでコレだけ変わってしまうのか!という部分ですよね。

ただ、昔はちょっとしたものでも自分で縫ったりして、同じ物でもちょっと「見た目」を変えたい…若干の変化でこれだけ違うと云う。

例えばご飯を食べている時でもココだけが違うと印象が変わる訳じゃないですか?(※とシャツの裾を見せてくれる。今季リリースのシャツを参考)



遠藤
そうですね。



千壽
こういう様な…「イヤラシいカスタム」って云うのも変ですけど(微笑)それは得意ですね。

少しずつでも洋服で表現しているつもりでは有りますけど。






遠藤
では、同じ様な質問になるかも知れませんが、やっぱり再度始めたって事は「自分の求める洋服が世に無いから始めた訳」ですよね?

勿論、全部が無いって訳では無いと思いますが。

今の時代に無いものって、「ファッション・シーン」には色んなブランドが有りますけど、何が無いと思いますか?物足りないと感じますか?



千壽
う~ん、そうですねぇ……



遠藤
『アイテムのこう云うのが無い』って細かな部分では無く、全体像としてで結構ですので。



千壽
これも難しい質問ですね(微笑)時代に依って変わってくる場合も有りますしね。



遠藤
今のファッション・シーンは僅か「半年位」で変化する様になりましたからね。



千壽
そうですよね。でも気をつけているのは「物(デザイン)のふんわり感」と云うか…「嵌まり過ぎ無い」って事を創る時には考えますね。

服を創る時はいつもイメージが有り、誰かがモデルになって、知り合いとかをイメージし、そこで普段着としてそこにある物で外に出ても「きめ過ぎない」って部分は注意しているかなと思います。

今回のアイテムでも洋服のジャンルとしては何て事も無い「シャツ」や「パンツ」をリリースしていますが、その中でもカフスを折ると「文字が入っていたり」とか。

何でも無い事を何でも無い場所で出せる様な…『そこって何?』って服作りを考えていますね。






遠藤
確かに今のシーンは、細かい話になりますけど「ギミック」的なものが少ない様な気がしますね。

例えば「ピスネーム」や「ネームタグ」等など、そこまでブランドを強調しない気がします。

その辺もやはり意識しているって事ですか?(※今季のアイテムはその小さいギミックがシャツ等で多く含まれています。)



千壽
確かに今シーズンは、ネームにしても色んな形や場所に付いていたりしますが、それが1センチ違うだけで表情も変わりますし、

もしくは、それを外す「引き算」だったりとかも有りますよね。

その部分って当然ですけど面白いです。服の表情が些細な事で変化していくって。基本的な部分ですけどね。

『ここを引いたから、ここを足そう』って考えは。



遠藤
今、店頭で並んでいるシャツでもポケットにもネームが有り、フロントのボタンダウンの裏にもネームが有って、サイド下にもネームが有ったりするじゃないですか?

駄目押しでフロントトップのボタンにもネームが入っている訳ですよね。

あそこまでネームがポイントポイントに有るのは今の時代では珍しいですよね?



千壽
そうなんですよね。今シーズンはそうですね。

実際に次のシーズンでは全部それを無くしているんですよね(微笑)引き算です。

今回はやはりブランドとしてお客様に手に取ってもらう作業ですよね。沢山の服が並んでいるラックの中で選んで貰う訳です。

ブランドの最初としては、やっぱり「主張」していた方が良いんです。

それも勿論、計算をし、ストリート・ウェア感が出ていないアイテムに対しての「ネームを沢山付ける」って云うのも変ですが(微笑)両シーンに無いバランスを考えて付けています。

それが先ず理由の一つです。

それと、先程もお話しした始まったばかりのブランドを知って貰うって理由が2つ目です。

先程も言いましたが、次のシーズンはネームを外しているんですよね。

それは、ブランドの展開としてのバランスですよね。(そして席を立ち次のコレクションのシャツを持って来てくれる)

もう、この部分だけにしているのですけど、その分「文字を手書き」にしていたりとか…本当にポケットすら全部外したりとか。

やりたい事が変化していく。

デザインやネームにしても最初は本当に色々と考えたのですが、引く作業と足す作業が有り、それはどのブランドさんでもそうだと思いますが。

来年のコレクションは物(デザイン)の側面だけでなく「色のふんわり感」を凄い出したいと思いまして、此の様な赤いネームは逆に妨げになるなと判断した訳ですね。

勿論、またその次のコレクションではそういったのが付く可能性だって有りますけどね。



遠藤
以前と今の服を創る時のヴィジョンって短くなっています?…いや、この説明だと分かりづらいですね。

毎シーズンギリギリの段階って云うのも変ですが、直前の時期にプランを練るタイプですか?

それとも、数シーズン先を考えてプランを練るタイプだったりしますか?



千壽
もう、それは来年の冬や再来年の春に創る物のベースは頭に入っていますね。

凄い大まかな段階ですけどね。こんなディティールでって感じ位です。



遠藤
それって例えば来年だったら僕の予想だと90年代のスタイルが見直されると思っているんですよね。

今の段階で既に服の自動アンテナを設置している方は(微笑)、キャップとスタジャンにスウェット、太めのデニムにブーツってスタイルを楽しんでいたりすると思います。

例えば「ダウンタウンの浜田さん」が、ずっとなされている様なスタイルとか。



千壽
はいはい。



遠藤
そういった予測ってよりかは、やはり来年の自分がきっと欲しいと思う様な秋冬のデザインって事ですよね?



千壽
そうですね、やっぱり。それだけでは無いですが、そっちの方が強いと思います。

あと…結局は僕も90年代って云うのはベースにはなっているので、何を創っていても「そう云う風に見られてしまう」のは仕様が無いと思いますし。

その中でも「アップデート」する事が大事ですよね。分かりやすいのが「この形でこの生地は無かったであろう」だったり、今の流れに有るディティールも理解して落とし込んでいる作業だったりとか。

微妙なバランス感を。大きく着るのでも昔みたいにズドンと着るのでは無く、大きく見せる所は見せて、締める所は締めるってデザイン性ですよね。



遠藤
はい。



千壽
そういうパターン(型紙の事です)の作業なんですけど、そういう部分はしっかりとやりつつ、アウターとかはそのパターンの基盤から、徐々にスタイリングが浮かび上がってきてって流れですね。







遠藤
今、サイジングの話になりましたけど、やっぱり「サイズスペック」って時代と共に変わっていくじゃないですか? それと同じく今は価格帯も有りますよね?



千壽
はい。



遠藤
それは勿論、服に対する価値観だったり、好景気/不景気の事も関わっていると思いますが、その価格の事でヴィジョンって有ったりするんですか?



千壽
希望は有りますよ。その購入して頂く方の為にも抑えたいって気持ちも常に有ります。

でも、その為に物作りをしていると「何処でバランスを取るか?」となります。

ですが、その為に「工場の質を下げる」(※安い製法の生産工場)とかは、やっぱり出来ないんですよね。

質を落とす事はやっぱり出来ない訳で、そうなると必然的に「有る程度の値段」になってしまう訳なんです。

こういう風な価格帯でリリースしたいなってのも有りますけど……だけど、う~ん……後は周りのブランドを見つつと云うか…。

なので物によっては、勿論「利益の無い商品」も有ったりします。当然、有ります。

それだからといってその商品が凄い売れるって云われたら、そうとも限らないんですよね(笑)



遠藤
そうなんですよね!(笑)僕もアイテムを見て分かりますので。

その辺が先程、話した服の価値観…つまり「自発的な服の知識の吸収力」が現在難しくなっている事にも繋がりますよね。

必然的に覚えていく訳でもなく、その「実質的な価値観」よりも「価格帯だけを注目」すると云うか…。



千壽
そうなんですよね。それが良い悪いでは無いのですけどね。

値段が高かろうが、ブランド関係なく売れる物は売れるんですよね。

なので最近は余り気にしない様にはしていますけど…。

気にはしますけど、以前よりかって感じですね。






遠藤
「ファスト・ファッションシーン」が生まれて、今や海外からも国内からも続々と生まれている訳じゃないですか?

値段枠は以前に比べたら、凄い広くなったのも事実です。

価格帯が全てとは云いませんが、通常ですと安い物の価値と高い物の価値って違って当然ですが、今はプレス等の状況含めて、全てが均等に感じる様な流れになっています。

ファッションの自由が広がったと捉える事も可能は可能だと思います。

基準値の変化ですよね。もの凄いそれがファッションの感覚の「メリット・デメリット」にも繋がっているのですけど(苦笑)

僕自身も店頭に立ち、先程話した様に「半年で変動」が有ったりするんです。

色んなブランドのデザイナーが、違うブランド名で価格を抑えた新しい展開を始めたりとか、色々と有ります。

値段によって、お客様の印象が変わるって云う「恐ろしさ」は無かったりしますか?



千壽
前までは有りました。今はもう色々とディーラーさん(販売店舗)との話とかで『高額だとしても売れる物は売れるから、このままで良いよ』って言ってくれる方もいるので、

あまり気にしない様にはしているんですけど、やはりコレクションの全体としての流れでコレだけは高い/安いって云うのも変なんで…安い分には良いんですけど。

そういう部分は調整しつつ、もしくはアイテムによっては「これ以上は価格を抑える事が出来ない」と判断したら、そのアイテム自体を「ボツ」にする事も有ります。



遠藤
うんうん。



千壽
本当はリリースしたいんですけどね。それは凄いストレスになるんですけど仕様が無いかなって。



遠藤
僕らの方も、その部分がストレスだったりするんですよね。

「高くても売れる物は売れる」って、僕じゃない他のディーラーさんがおっしゃったと先程、聞きましたが、

僕からすると、それは言い換えれば「買える人は買える」って事にもなるじゃないですか。



千壽
そうです、そうです。



遠藤
けど、今の時代って「不景気」を肌で感じるんですよね。

常連さん達も凄い大変だろうなって感じています。よく遊びに来てくれるからこそ感謝も有るし、その部分も気付く訳です。

『う~ん…』って迷っている姿を僕らは店舗で直に毎日見ている訳ですので。

その辺は販売側として、やっぱり売り上げ以前に格好良いと思って提案する洋服を沢山の方に着て貰いたいって思うし、

ましてや、自分がどれだけ影響を受けてきたか分からない千壽さんの手掛ける商品なら尚更そう感じる訳です。

なので僕はその辺を特に聞きたかったんですよね、今回のインタビューで。

今後は…現在もコレクションとしては型数が少ない方じゃないですか?



千壽
そうですね。



遠藤
今後のヴィジョンとして、もっと増やしていくって考えは有るんですか?



千壽
今回でも細かい部分を含めて「34~35型」位なんですよね。これがベストです。

これからも多分、増やさないと思います。

実際に自分で着たい物を創る訳で…でも(他のブランドの展示会で)『コレ全部を着られます?』って思ったりするんですよね?(微笑)



遠藤
はい。確かにワン・シーズンで全部は難しいだろうって型数のブランドは存在しますよね(微笑)



千壽
はい(微笑)なので、この規模で十分と云うか。頭の中で「嘘が無い」と云うか…



遠藤
成る程!!シーズンの中で自分が着れる数として、今のコレクション数が丁度良いって事ですね!!



千壽
はいはい。そういう事ですね。

だから、その…全部のアイテムの裏の裏まで見れるし、妥協が無い創りが出来るのかなって思いますね。

こういうアイテムをこういう風に着たいって云う感じで、物を創れる僕の限界がこの型数だったりしますね。



遠藤
それは自分の中で無かった感覚だったので、ちょっとビックリしました。理に適っていますね。

千壽さんの洋服を好きな方は、これで足りなくも無く、且つ多くも無いアイテム数って事にもなりますからね。



千壽
まぁ…そうですね(微笑)でも、普通の仕事をされている方としたら多いとは思いますよ。



遠藤
確かに平日は着れない仕事の方も多いでしょうからね。学生さんは別ですけど。僕と同じ世代とかは特にそうでしょうね。



千壽
そうですね。






遠藤
このインタビューで、僕ら世代や新しい世代の方達も沢山読んで頂けると思いますが、今後の課題って云うのもちょっと変かも知れませんが、自分の中で理想的な展開って有ったりしますか?

これだけ数多く有るブランドの中でチョイスして頂くので…以前よりも「道筋」とか「切っ掛け」…「ヒント」的な事も提示していかなくてはと思うんですよね。



千壽
えぇ、そうですね。



遠藤
これだけの情報網の発達で、逆にチョイスが出来ない状況が生まれている訳で、デザイナー自身からリクエストや色々な言葉が有った方が、もっと近づける気がするんですよね。



千壽
リクエストですよね?お客様に対しての。

実際に全く無いんですよね(微笑)

リクエストと云うか…今…活動を止める前よりも「リラックス」して物を創れているんですよね。

次のコレクション…今、店頭に並んでいる商品もそうですけど、物を実際に見て貰った方が『成る程ね』って思って頂けるんじゃないかなと思います。

どちらかと云えば、先程、遠藤さんが言われた様に「セットアップで着て貰ってしっくりとくる様な物作り」はしていると自分では思っています。

実際に「セットアップの商品」も来年の初夏では多く有ったりしますからね。(※前記のセットアップは同じブランドって意味合いで、後記の方は同じデザインとファブリックの実質的なセットアップと云う意味です)

その中で手に取って試着して貰えたら、分かって貰えるんじゃないかな?って。

自分でも今はどういう風に着て欲しいって願いは、其処まで無かったりします。

分からないですけどね(微笑)

今は服を凄い楽しんで…一生懸命に創っているって感じが強いんです。

『ああでもない、こうでもない』って感じで。

まだ1年目なんで、色々とやりたい事は沢山有るので、まだ……兎に角、今はお客様にリクエストが無いんですよね(微笑)






遠藤
一度、止めて良かったですか?



千壽
……良かったと思います。やっぱり間が有るので凄いリフレッシュして物作りをしていると思います。

何年間は「お客さん」として服を沢山見てきたので、それが凄い良かったんだなと思うんです。

それで再確認したんですよね。

『僕は洋服が凄い好きなんだ』なって。



遠藤
うんうん。一度自由になった訳ですしね。



千壽
そうなんですよね。今の服作りに良い影響を…色んな物を創り、色んな物を着たからこそ、自分で創りたい欲求が生まれて……よっぽど好きなんだなって(微笑)



遠藤
好きなんでしょうね(微笑)なんだかんだで止めてない僕もそうですけど。



千壽
そうですよね。そんな感じです。



遠藤
今は復帰して、最初に悩みが有るって云いましたけど、戻ったけど(気持ちの)自由が守られているって感じなんですね?



千壽
そうですね。自由を守りながら活動していますね。

その…前々からやっていたからこそ、この雰囲気……自由を守る為/自由を保つ為にはこの程度の範囲が。

自分の出来る範囲を確認しながら…確認は出来ているので。



遠藤
分かりました。今後もそんな新作達がお店に並んでいくと思いますので、僕とPROVEN、そして一番は僕らのお店を選んでくれているお客様達を末永く宜しくお願い致します。



千壽
それは勿論です。

僕もこういった出逢いが生まれて凄い嬉しいです。今後とも宜しくお願い致します。




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