IN FLAMES

ジャンルの枠を超え、アメリカでもブレイクを果たしたメロディック・デスメタル界のパイオニアが本誌初登場!フォロアーとは圧倒的に格が違う、ミュージックシーンを創り上げた彼が見てきた世界とは?


Interviewer. 遠藤博美(SIDEMILITIA.inc代表)
Interview. ANDERS FRIDEN
IN FLAMES Official Web Site:http://www.inflames.com/

今回のインタヴュー、実は初のホテルの部屋での収録でした。厳重な警備のホテルロビーで連絡を待つ僕。連絡が入り、部屋まで連れてかれる僕。この時点で『よく雑誌て読んでた感じと一緒だー』とワクワクでした(笑)部屋のドアを開けるとそこにはカメラマン、通訳さん、A&R、そして彼が・・・。『さぁ、勝負です。楽しむぞー!!』


● 初めまして。今日は宜しくお願いします。さて、これまでかなりの数の枚数をリリースしてきましたが、貴方にとって近い将来のヴィジョンでこれから実践したい/頭に浮かぶ具体的な他に無い展開は何が有りますか?

考えてる事はいろいろあると言うか、IN FLAMESの事に関しては『次に何をやるのか』とかは常に考えているんだよね。この夏ヨーロッパのフェスで“ヘッドライナー”をやるんだけど、それに向けて照明のプランニングなんかも実は僕が考えていてるよ。だから、来年は“1年休みを取ろうか”と思ってるんだよね。IN FLAMESのアンダースじゃない、ただの自分で居られる時間って言うのがどしても必要になってくると思うんだよ。今は本当に24時間休み無しでIN FLAMESの事を考え続けている状況だから、一旦これを棚に上げたいななんて思っているんだよ。

● 1年もですか?結構驚きの発言ですね。では、僕も当然、同業者がしている事が納得出来ない部分が有るから自分自身で10年以上もイベント/ショップ/ラジオ/雑誌等を展開しています。貴方の音楽家としての譲れないプライドを教えて下さい。そして音楽家としてこれだけは“してはいけない事”を教えて下さい。

“してはいけない事”っていうのは余り意識したことは無いな。それを考えると自分に制約を侵してしまうかもしれないし。けど、1つ考えている事は“ファンを裏切りたくない”ってことかな。例えば今までと全然違う事をやりだして、IN FLAMESが"エレクトロミュージック"のアルバムを出すとかするのは“裏切り”になると思うし。でも、その一方ではIN FLAMESを離れれば僕自身は“色々な音楽を楽しむタイプ”だから、そんな音楽を制作しても良いんじゃ無いかなって気持ちはあるんだ。バンドとして出す物には凄くプライドを持っているから“100%満足しなかったらリリースはしない”って言うのは一つのポリシーだよ。ただ、今メンバーの皆には家族がいるから、“家庭にはあまり仕事を持ち込みたくない”ってのもあって、時には電話を切っておかなければいけないくらいな時も有って、ろくに子供達と会話も出来ない、街に出れば人に声をかけられて子供達にかまってやれないってのが現状だから、さっき言ったみたいに今休みを取りたいって言うのはそこもあるんだよね。まあ、さっきヒロから貰った御守りがあるから、あと1年はやってけそうだけどね(笑)その休みの間にIN FLAMESでは出来ないことをやってみようかなって思うんだよ。サイドプロジェクトでも良いし、最近僕がスウェーデンでラジオを始めたんだけどそれでも良いし、自分は2つのスタジオを手掛けてるんだけど、その仕事をしたいし、いろいろ有るんだよね。

● 今の話を聞いて、あなたはとても“ワーカホリック”なんだなって(笑)思ったんだけど、実際その休みを取れる自信はある?僕も一緒だから判るんだけど、結局、1週間位したらメンバーに電話して仕事しちゃいそうな気がするけどなぁ。

いや~(笑)実は自分もそう思うよ。ヒロもやっぱりそうなんだ?そんな感じが確かにするよ(笑)何にもしないって言っても、1週間も経つと逆に自分がどうかなっちゃうんじゃないかなってさ。だから家族がそれについて、いつも文句を言うんだよ。ゆっくり休み取るなんて言ったくせに、『打ち合わせだ』『あの件を決めないといけないんだ』なんて言ってすぐ出掛けてしまうじゃないか!ってね(笑)僕自身もリラックスしないといけないってのはわかってるんだけど、逆にそれが難しいんだよね。

● IN FLAMESは永い活動で音楽性も当然ながら『深化』が見受けられます。しかし“ヘヴィ”という言葉が必要以上にリスナー達に重要になる音楽をしているので、新作の度に“賛否両論”になる事も多くなるでしょう。僕は現在具体的に云えば、IN FLAMESは“ヘヴィな音楽を制作しよう”としてるのが初期で、“メンバー自身がヘヴィになった”のが現在で有り、どんな音楽性でも自由に楽しめていると感じています。僕の勝手な解釈ですが。その辺の伝える側にとっての“苛立ち”や“葛藤”は有りますか?

う~ん・・・良い質問だな・・・(笑)長い質問だから何から話そうかな・・・まずはバンドを始めた当初の話からしようか。初期の頃は、僕らも“シーンの一員になりたい”その一心でやってたんだ。 若い頃って“アイデンティティが確立されてない”から“何かを求めて”やってるんだけど、それが“判らない”ってのが事実だと思うんだよ。そのくせ、“人の意見に左右”されたり、“傷付いたり”するんだよね。でも今は人にどう言われようが知ったこっちゃないし、どんな意見でもお好きな様に言ってくれれば良いけど、どうしても納得出来ないのなら他にもバンドなんか沢山いるんだし、そっちを聴いてれば良いんじやないかな。結局、此処まで続けて来れたのは“自分達を信じて”やって来たからなんだ。勿論、世界中の人が“1人1枚僕らのCDを持っててくれれば”それはそれで嬉しいけど、それを求めてる訳じゃ無いし。自分達が良いと思うものを作る事をやってきたから、9枚もアルバムを制作出来たんだと思うよ。アルバム毎に成長してきたし、その都度“ファンベース”も築いて来たと思う。“トレンド”って来ては去るけど、『IN FLAMESは“同じ場所”でずっと立ってた』ってそういう事だね。音楽的には<メロディーとアグレッションのバランス>が常にテーマで有り、バランスの分量は“その都度変わった”と思うけど、1stアルバムや最新アルバムを聴き比べてみても『ピュアなIN FLAMESの姿』っていうのは、そのバランスの中に常に存在してると思うよ。

● もし“タイムスリップ”するとしたら、何年の何処で誰と共演してみたいですか?理由も教えて下さい。“好きだから”だけではNGですよ!!未来でも構いませんからね、理由があればですが。

ハハハ・・・面白いね。取りあえず“未来”は辞めとくよ。先の楽しみは取っておきたいからね。教科書に載っている色々な歴史的変化の時代が良いな。例えば“キリストの誕生”の時とかね!!目の前で観てみて“自分”でも関わってみたいよ。“音楽的”な事を言えば“Jim Morrison(THE DOORS)”とか“Elvis Presley”とかと、共演出来たら楽しいだろうなって思うよ。

● “Elvis Presley”は万国共通でイメージは一緒だと思うんだけど、“Jim Morrison”に関して言えば“その国によってイメージは変わってくる”と思うんだけど、彼のどの変をリスペクトしてるの?

やっぱり“Jim”は『考える人であり、詩人であり、世界永久に残るものを提供した人』ってイメージだね。けどある意味“孤独”で、“無垢な人”だったのかなぁとも感じるんだ。そんな人だったからこそ“キャリア”を続けてく中で、どんどん“内向的な人”になって、それが“自分を蝕んで”いったんじゃないかな。素晴らしい歌詞や音楽を書いた人だから、“惜しい事をした”って気持ちは“いち音楽ファン”として強く感じるよ。

● 近年世界的に広がる再結成/リバイバルソングブームは何でだと思います?もう“新しいものは生まれなくなりつつ有る”のですかね?僕は再結成は賛成派です。やっぱりTHE BEATLESは“Ringo Starr”が1人になっても観てみたいですしね。カヴァーは“愛情を感じる”から賛成ですが、リバイバルは“安易な策略”の臭いがするので(笑)余り同意出来ませんね。

あぁ、ヒロの言ってる事はよく理解出来るよ。けど僕は基本的には“リユニオン”にはあまり賛成じゃないかな。以前に観た事ある好きなバンドが再結成したのをもう一回観たら、当時の様な“スペシャルな魔法が無い”って感覚を僕も味わった事あるからね。ミュージシャンの立場から言わせてもらうと、“音楽が好きだからやらずにはいられない”ってのは理解出来なくは無いんだけどね・・・。観る側からすると、“そのバンド”だけど“そのバンドではない”って言いたくなるよ。だから、もしかして彼らは“自分自身の為”にやっているのかもね。当然、お金の為のバンドも沢山いると思うけど(笑) 僕が観た一つの例として『ALICE IN CHAINS』とフェスで共演したんだけど、僕は彼らのデヴュー当時から“大ファン”で、一般的な認識の“グランジ”としてじゃなくて、“メタル”として聴いていたんだ。ボーカルのLayne Staleyの歌詞の書き方や音楽的にとても影響を受けてもいたんだよ。で、その時は“新しいメンバー”を入れて再結成してたんだけど、バンドの状態は悪くないし、新ヴォーカリストも上手いし、声もレインにそっくりなんだけど、どうしても彼らの“カヴァーバンド”を観ている印象は拭えなかったんだ。誤解はしないでくれよ。今でも凄いバンドなんだけどね・・・。

● えっ!!実は僕も“ALICE IN CHAINS”は本当に大好きで今でもイベントで廻してるんだよ!!再結成してまた観れるのかって興奮してたけど、今の話を聞いて『うーん・・・』って考えさせられたよ。ちなみに僕の好きな曲は『Angry Chair』なんだ。僕は音楽家では無いけど、あの歌詞には今でも物事の捉え方/感覚として凄い影響を受けているんだ。

そう!!あの歌詞は凄いよね!!ヒロが言うとおり2ndアルバム『Dirt 』はどの曲も素晴らしいよね。そんなに好きなら観るべきだと思うよ!当然、今でも良いバンドだしヴォーカルも本当に上手いしね。けどさ・・・このバンドはもう<以前のオリジナルメンバーでの再結成が出来ないバンド>だからしょうがないんだよね。また彼らを観れるって『喜び』と同時に、観たらやっぱり以前と違っていて『失望』っ言葉が浮かんだのが個人的に大きかっただけだよ。


※ALICE IN CHAINS・・・90年に1stアルバム『Facelift』でデビューした正に伝説のバンド。曲と歌詞が一体となった独自の病んだ混沌とした世界観は世界中の人を驚かせた。現在のヘヴィな音楽シーンを代表するアーティストが影響を口にする者は多数。ボーカル・レインが02年に自宅で腐乱状態で亡くなってる(麻薬によるオーバードーズの為)のを発見され、衝撃的な終幕を迎えてしまった。06年に新ヴォーカルを入れて再活動を始めた。 個人的には同時代で同様な悲劇的結末を迎えた“NIRVANA”よりも、大きな影響を与え続けてくれる偉大なバンドです。


● 貴方自身は音楽という“メッセージ”を世界中に投げる事が出来る数少ない人の一人です。個人としてどの感情が一番動かされ、感情を伝えたくなりますか? また英語以外の言葉で好きな言葉は有りますか?

音楽にも2つの側面があって、ライブ/レコーディングの2つに分けるなら、まずライブで僕が伝えたいのは『エンターテイメント』つまり楽しんで欲しいって部分なんだよね。ライブの1時間の間だけでも、自分達の生活でのトラブルや悩みなんかを忘れて楽しんで欲しいんだ。僕らはメタルバンドだけど、決して人間としては“攻撃的”ではないからね。こうゆう音楽性を若い時に聴いて心に響いただけなんだ。たまたまやっている音楽がヘヴィーなだけでもっと純粋に『一つの音楽』として楽しんで貰いたいって言う気持ちが強いかな。次にレコーディングの過程での事についてだけど、歌詞の内容や歌うのは僕個人の事だけれど、それに共感して励みになったり、とくに『孤独』を忘れてくれたらって事が一番の動機になっているかな。だた、音楽って『説教で有っては決していけない』と思っている。僕達はポリティカルなバンドでは決して無いから、押し付ける事はしたくないんだ。単純に楽しんでくれる人が居る事、それが一番自分に取って大事な事かな!!ヒロの質問の答えになってると良いけど。

● 大丈夫ですよ!!それではもう少し分かり易く質問します。日本には昔から『喜怒哀楽』という人間の全ての感情を表す言葉が有ります。貴方はどの部分に一番心を動かされますか?

やっぱそれはバランスだと思うな。その『喜怒哀楽』の感情の全てを感じていたいと思うよね。例えば僕らの中に『The Chosen Pessimist』(アルバム A Sense Of Purpose (2008)に収録)って曲があるんだけど、あの曲は悲観的な状況に自分を置く事で安心してる人の事なんだけど、悲観的な状況にさえ居れば自分をコントロールする事ができるって思っている人。そこにポジティブな要素が入ると妙に不安になってしまうってそう言う人が世の中にはいるわけなんだ。だから僕としては何かに偏るよりは全ての感情を少しづつ持っていたいなって思う。状況によってそれは変わるもんだと思う。子供達の顔を見てれば“喜”の部分が大半を占めるし、世界のニュースに目を向ければ“哀と怒”しか感じれなしね。

● この歌詞は凄くユニバーサルに共感すると思いました。日本でも自殺者が多い国なんで悲観的/被害妄想ってなり易い国なんです。貴方の歌詞は本当に描写が鋭いと思います。

有り難う。そしてナイス・アシストだね(笑)

● いいえ。それではデビューしたばかりの自身“ANDERS FRIDEN”に助言をして挙げて下さい。そしてデビューしたての自分が、今の自分をみて何と言うと思いますか?

レコード業界ってそんなに良い人ばっかりじゃないから、そんなに世間知らずでいちゃ駄目だぞ!!そして“親友面”する奴らが幾らでも近づいてくるぞって。あと、レコーディングに関してもスタジオではギターやメロディーは幾らでも重ねることは出来るけど、ライブになったらギターは『2人しかいない』の覚えとけって言ってやりたいな(笑)僕は根本的には真面目だと思うし、デビュー当初から基本姿勢として自分の気持ちに素直にやるってことがあったから、今はある程度の成功を成し遂げて世界の隅々にまで自分の音楽を伝える事も出来たし、こうして続けてこれた今の自分をあの頃の若かった自分が観て結構自慢に思えるんじゃないかな。きっと“リトルアンダース”はこう言うと思う。『俺って結構いけてんじゃん!』ってね(笑)

● (大笑)なるほど。良かったです、自分を褒めてもらって(笑)コチラは恒例の質問になります。何らかの理由でメンバーが引退する事になり、2代目IN FLAMESを結成してもらいます。ヴォーカル含めて各メンバーをチョイスして貰えますか?条件は2つです。<故人でも構わない> <現在有るオリジナルナンバーしか演奏しない>誰にしますか?

フフフ・・・IN FLAMESのナンバーだけなんだね・・・よし、このラインナップが良いな。
Vo. Layne Staley(Alice in Chains)
Gt. Jimmy Page(Led Zeppelin)
Ba. Lemmy Kilmister(Mot?rhead)
Dr. John Bonham(Led Zeppelin)
このバンドでのIN FLAMESを是非聴いてみたいね。

● ギターは1人で良いの?大丈夫?

ウップス!!確かに・・・それは非常に大事な事だったな・・・う~ん・・・やっぱりそれでいいや。どうせリハの時にもう一人欲しくなると思うけど(笑)

● 何か“とんでもないバンド”になりましたね。ギャラも“とんでもなく”なりそうだけど(笑)

クックック・・・。でもこのラインナップで聴いてみたいよ。宜しくね。

● 今回の表紙は、一般的に異なるファン層を持つ“IN FLAMES”と“TRAVIS”が飾ります。最後は貴方達が未だに降り立っていない、新潟に住むファンの皆にメッセージを。それと同時に未だ貴方達の音楽に触れた事の無い人達にコメントするとしたら何て伝えますか(笑)やっぱり後者の方が面白いから、後者の未体験の方達に向けてお願いします。

これは、チャンスだな(笑)ハハハ・・・最後までヒロは変わっている(笑)そうだね・・・『楽しんで聴いてみてよ!』って伝えてくれよ。表面だけで捉えて『METALかぁ』なんて思わないで欲しいな。僕らのバンドには結構『深み』があるから1曲だけ聴いてダメだなんて思わないで、アルバムを一通り聴いてみたら必ず誰にでも伝わる『何か』があるんじゃないかな。今日は他に無い内容で本当に面白かったよ。どうも有り難う!!また逢おう。


そんなこんなで1時間に渉るロングインタヴューは終了しました。世界中を渡る彼ら。流石に疲労の陰は見えましたが、丁寧でゆっくりとした回答でした。その後に観たライヴの感じが既に『正統派の大物』のイメージが一番強く感じたのが印象的です。メイデンとかに近い感じですかね。次回のライヴも楽しみです。休まず帰ってきてね(笑)
※トイズファクトリーの宮本さんへ:ドリンクを出してくれるのもっと早めにお願いします。暑くて喉がカラカラでした(笑)あとアンダースがインタヴュー中に飲んでるコーヒーを僕も飲みたくて仕様がなかった“カフェインマニア”でした。因みに原稿制作の今も飲んでいます(笑)。


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